
各科目の学習作法を習得した後に訪れるのは,学部の定期試験です。そこで本連載では,司法試験予備試験及び法科大学院入試対策も兼ねて,憲法・民法・刑法の基本三法の頻出論点に関する基礎知識を紹介させて頂きます。まずは,週2回程度の更新で,答案の書き方のポイント2回,民法総則3回,憲法人権論3回,刑法総論3回を掲載致します。
第6回 憲法人権論「信教の自由」
信教の自由(憲法20条)について,芦部信喜『憲法』(岩波書店,第6版・高橋和之補訂,2015)P.153~4には,「近代の自由主義は,中世の宗教的な圧迫に対する抵抗から生まれ,その後血ぬられた殉教の歴史を経て成立したものである。それだけに,信教の自由は,あらゆる精神的自由権を確立するための推進力をなったもので,歴史上きわめて重要な意味を有する。」と記載されており,表現の自由(憲法21条)と並んで精神的自由権の中でも極めて重要な権利です。また,憲法20条1項後段と同条3項は,政教分離の原則を定めています。これは,「国からの特権を受ける宗教を禁止し,国家の宗教的中立性を明示した規定」(芦部・前掲書P.159)です。
また,信教の自由に関する宗教法人オウム真理教解散事件(最決平8.1.30民集50-1-199,百選42事件),政教分離の原則に関する空知太神社事件(最大判平22.1.20民集64-1-1,百選52事件)など多くの判例が蓄積されています。また,信教の自由と政教分離の原則は,現司法試験及び予備試験考査委員である野坂泰司教授の関心分野であり,受験に際しては要注意です。
そして,試験対策としては,下記の参考文献や憲法判例百選の該当事件を精読するとよいでしょう。
また,信教の自由に関する近時の注目すべき裁判例として,東京地判平26.1.15(判時2215-30)があり,その判例批評として,小島慎司「警察によるイスラム教徒の個人情報の収集・保管・利用の合憲性」平成26年度重要判例解説P.16~7があるので,参考にして下さい。
なお,下記で参考文献をお示しした上で,原孝至基礎講座のテキストである『新スタンダードテキスト憲法』の該当部分を掲載(PDF)致します。本ブログ読者の皆様の学習にお役立て頂ければ幸いです。
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