【連載】近い将来を見据えた法律学の入門書 第1回 刑法編

辰已法律研究所 教材担当者によるおすすめ 近い将来を見据えた法律学の入門書

 大学の法学部の授業で指定された体系書(基本書,教科書)や司法試験対策等で定評のある体系書を買ったものの,内容が難解すぎて消化不良となり,法律学に挫折するということはよくあります。

 これから法律学の学習をはじめようとする方は,いきなり本格的な体系書を読む前に,まず,薄くて分かり易い入門書を読んでから本格的な体系書を読む方が圧倒的に学習効果が高いといえます。

 そこで,本コーナーでは,本格的な体系書を読むという近い将来を見据えた法律学の定評のある入門書を紹介致します。

第1回 刑法編

・山口 厚『刑法入門』(岩波新書,2008)

定価(本体820円+税)(岩波書店HP書籍紹介

<著者紹介>

・山口 厚 最高裁判所判事の紹介(最高裁判所のHP

 この岩波新書の著者である山口厚氏は,東京大学名誉教授で元司法試験及び予備試験の考査委員であり,前司法試験委員会委員長で,現在最高裁判所判事です。

 この岩波新書は,本文・あとがき含めて225頁の分量で,「犯罪とは何であり,なぜ犯罪者には刑罰が科せられるのであろうか.また,『罪が犯された』と言うためには,どのような条件が必要なのか。…刑法学の第一人者が,犯罪と刑罰をめぐる考え方を解説する。」(上記岩波書店HP書籍紹介)としています。

 また,内容面でも興味深いケース(事例)をもとに「罪が犯された」と言えるか(いわゆる刑法総論の部分)を解説されており,飽きることなく読み進められます(なお,同書はしがきのケースは,上記岩波書店HP書籍紹介でご覧になれます。)。

<参 考>

 今回,この岩波新書を刑法の入門書としてお薦めさせて頂いた理由としては,この岩波新書の内容が非常に充実していることの他,法学部生や法科大学院生,司法試験及び予備試験受験生の使用する刑法の基本書として,同じく山口厚著の『刑法』(有斐閣,第3版,2015)(下記有斐閣HP書籍紹介参照)を使用することが多いからです(この有斐閣の『刑法』は,カバーが青いので読者から通称として「青本」と言われています。)。

 この青本は,「刑法総論・各論を1冊にまとめた,刑法の第一人者によるテキスト。判例を基礎とした客観的な姿を示すことにより,刑法の解釈と構造の理解が深まる。…」(下記有斐閣HP書籍紹介)とされ,刑法学習者の圧倒的人気を誇っております。

 そこで,近い将来この青本を読む前に,同一著者で強い互換性のあるこの岩波新書を刑法の入門書として,お薦めさせて頂きました。

・山口 厚『刑法』(有斐閣,第3版,2015)

定価(本体3,200円+税)(有斐閣HP書籍紹介

※次回更新は4月4日(水)予定です。