
第3回 憲法編
・渋谷秀樹『憲法への招待』(岩波新書,新版,2014)
定価(本体800円+税)(岩波書店HP書籍紹介)
<著者紹介>
・渋谷秀樹 立教大学大学院法務研究科教授(立教大学HP研究者情報)
この岩波新書の著者である渋谷秀樹教授は,1984年3月に東京大学大学院法学政治学研究科博士課程単位取得満期退学されており,この東京大学在学中は芦部信喜先生のもとで憲法学を専攻されていました。主要書著として,『日本国憲法の論じ方』(有斐閣,第2版,2010),『憲法』(有斐閣,第3版,2017)(本文と索引を含めて803頁の大著。)などがあります。
この岩波新書は,本文・あとがき含めて239頁の分量で,「『憲法は私たちが守らなくてはならないものか』…など,24の問いに答えながら,日本国憲法の思想と骨格を平明に解説。社会問題となっている事象と憲法との関係をときほぐす,市民のための憲法入門。」(上記岩波書店HP書籍紹介)としています。
また,この24の問いは,憲法総論,人権論,統治機構論という憲法学全般にわたる分野に設定されており,具体的で興味深い問いに基づきつつ,渋谷教授の分かり易い解説で,憲法学の基礎を習得することが出来ます。なお,この24の問いの内容は,上記岩波書店HP書籍紹介の目次の部分に掲載されています。
<参 考>
今回,この岩波新書を憲法の入門書としてお薦めさせて頂いた理由としては,この岩波新書の内容が興味深く,かつ,非常に充実していることの他,法学部生や法科大学院生,司法試験及び予備試験受験生の使用する憲法の基本書として,渋谷教授の指導教官である故・芦部信喜先生の著作である『憲法』(岩波書店,第6版・高橋和之補訂,2015)(下記岩波書店HP書籍紹介参照)が挙げられることが多いからです(この芦部先生の『憲法』は,通称として「芦部憲法」と言われています。)。
この芦部憲法は,「…内容的には極めて高度であるが,叙述は簡易平明で読みやすいのみならず,平易な文章に込められた含蓄を味わいうるまでに読み込めば,現代憲法に関する高度な知識が自然に身につくよう工夫されている。」(高橋和之教授による同書第三版はしがき)とされ,憲法学習者の圧倒的人気を誇っております。
そこで,近い将来この芦部憲法を読む前に,芦部先生の門下生である渋谷教授の岩波新書を憲法の入門書として,お薦めさせて頂きました。
・芦部信喜『憲法』(岩波書店,第6版,2015)定価(本体3100円+税)(岩波書店HP書籍紹介)