
第7回 商法手形法・小切手法編
・丸山秀平『事例で学ぶ手形法・小切手法』(法学書院,第3版補訂版,2016)
定価(本体1800円+税)(法学書院HP書籍紹介)
<著者紹介>
・丸山秀平 中央大学法科大学院教授(所属大学HP教員紹介)
同書の著者である丸山秀平教授は,中央大学法科大学院教授で,元司法試験考査委員(旧試験)です。
同書は,本文・索引を含めて161頁の分量で,「手形法・小切手法の分野で重要な論点とされてきたテーマに関する具体例を通じ,理論を体系的に理解できるよう解説しました。初学者の入門書として,また苦手意識のある方の再入門書として最適です。…」(上記法学書院HP書籍紹介)としています。
まず,現在における手形・小切手の使用量の減少からか,旧司法試験と比較して現行司法試験及び予備試験における手形法・小切手法の重要度は低くなっており,また,近時,手形法・小切手法の基本書・参考書等の出版・改訂は非常に少なくなっております。しかし,このような状況下でも同書は,2016年の補訂で最新判例の補充や,神田秀樹・神作裕之編『手形小切手判例百選』(有斐閣,第7版,2014)(下記有斐閣HP書籍紹介参照)に対応するなど,最新の情報を提供しています。
また,『事例で学ぶ手形法・小切手法』は,これに「収録されている(ケース)の多くは,これまで手形法・小切手法の分野で重要な論点とされてきたテーマに関する具体例であって,これらの(ケース)を手がかりとして本書を読み進むことは,手形法・小切手法に関わる理論を体系的に理解することにつながってくる。」(同書初版はしがき)としています。さらに,図表を多用し,非常に分かりやすく解説されております。
そして,手形法・小切手法は,予備試験の短答式試験に毎年2問程度出題され,論文式試験は平成24年及び同28年に出題されただけで,本格的な体系書を読んで勉強をしたのでは効率が悪いとして,ほとんど白紙の状態で本試験に臨む受験生も多いといわれています。もっとも,論文式試験で出題された場合,商法の50点満点中少なくとも10点から15点程度は配点があるものと推測されることから,合否を分ける貴重なこの配点を,論点の網羅性のある同書の精読で得ることは可能であると思われます。その際,判例対策として,上記『手形法小切手法判例百選(第7版)』などを参考書とするとよいでしょう。
そこで,近い将来,予備試験短答式及び論文式試験に臨む前に,この『事例で学ぶ手形法・小切手法』を,お薦めさせて頂きました。
<参 考>
・神田秀樹・神作裕之編『手形小切手判例百選』(有斐閣,第7版,2014)(有斐閣HP書籍紹介)