
各科目の学習作法を習得した後に訪れるのは,学部の定期試験です。そこで本連載では,司法試験予備試験及び法科大学院入試対策も兼ねて,憲法・民法・刑法の基本三法の頻出論点に関する基礎知識を紹介させて頂きます。今回の続編では,民法債権法5回,憲法統治機構論2回,刑法各論3回,民法物権法3回程度を掲載致します。
第1回 民法債権法「債務不履行における損害賠償」
民法416条は,債務不履行の効果の一つである損害賠償について規定しています。この債務不履行における損害賠償については,①損害賠償の範囲,②通常損害と特別損害の区別,③損害賠償額の算定の基準時など,概念や学説が多岐にわたるため,民法債権総論の前半部分において非常に難しい領域です。このため,民法の知識・理解を試すために試験でも問われる可能性が高いといえます。
まず,①損害賠償の範囲については,理論的な対立が激しいため,相当因果関係説(我妻栄),保護範囲説(平井宜雄),相当因果関係否定説(野村豊弘ほか『民法Ⅲ-債権総論』(有斐閣,第4版,2018)P.64参照)などを押さえておいた方がよいでしょう。
また,②通常損害と特別損害の区別は,事例問題を処理するために必須の論点であり,正確に理解しておく必要があり,その際,具体的な事例を踏まえて学習すると効果的です。この点,内田貴『民法Ⅲ 債権総論・担保物権』(東京大学出版会,第3版,2005)P.160~162や,山田卓生ほか『分析と展開 民法Ⅱ』(弘文堂,第5版,2005)P.1~8などは,具体的な事例を踏まえて分かり易く説明されています。なお,前掲・野村ほかP.58の「図2 損害と損害賠償の範囲」は,民法416条の構造を理解するのに非常に有益です。
さらに,③損害賠償額の算定の基準時については,富喜丸事件(大判大15.5.22民集5-386)以降の判例理論を正確に押さえておく必要があります。これに関しても,前掲・内田P.162~8,前掲・山田ほかP.8~12などでは,具体的な事例を踏まえて分かり易く説明されていますので,参照されるとよいでしょう。
下記で参考文献をお示しした上で,原孝至基礎講座のテキストである『新スタンダードテキスト民法Ⅰ』(改正民法にも対応)の該当部分を掲載(PDF)致します。本ブログ読者の皆様の学習にお役立て頂ければ幸いです。
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