
各科目の学習作法を習得した後に訪れるのは,学部の定期試験です。そこで本連載では,司法試験予備試験及び法科大学院入試対策も兼ねて,憲法・民法・刑法の基本三法の頻出論点に関する基礎知識を紹介させて頂きます。今回の続編では,民法債権法5回,憲法統治機構論2回,刑法各論3回,民法物権法3回程度を掲載致します。
第3回 民法債権法「契約の解除」
契約の解除とは,「債権者が債務者の債務不履行を理由として,債務者に対する一方的意思表示によって契約を終了させることをいう(540条1項)」(潮見佳男『民法(全)』(有斐閣,2017))P.378)。
この債務不履行解除による解除の意義に関して,法制審議会民法(相続関係)部会委員・元司法試験考査委員の中田裕康教授は,「…不履行をされている債権者を契約による拘束から解放する機能が解除制度の主な目的であるとし,債務者に対する制裁は損害賠償に委ねることとしたうえで,債務者がその契約利益を奪われることも考慮して,債務者に対する一定の配慮を図るというものである。改正民法もこの考え方を基本とする」(同『契約法』(有斐閣,2017)P.194)と解説されています。
そして,契約の解除に関する主要な論点等として,⑴債務不履行による解除の要件(中田・前掲書P.196~216),⑵解除の効果(中田・前掲書P.221~241)を挙げることができます。
まず,⑴債務不履行による解除の要件に関しては,債務者の帰責事由の要否,催告解除が制限される要件,無催告解除の要件について,平成29年民法(債権法)改正で大きく変わることになります。
また,⑵解除の効果に関しては,その法的構成(中田・前掲書P.221~5),原状回復(中田・前掲書P.225~232),第三者との関係(中田・前掲書P.233~238)など,論文式試験の素材の宝庫といえます。
なお,契約の解除に関する現行法の演習素材として,山田卓生ほか『分析と展開 民法Ⅱ』(弘文堂,第5版,2005)P.154~165「13 契約の解除」(野村豊弘執筆),改正法対応の演習素材として,沖野眞已ほか編著『民法演習サブノート210問』(弘文堂,2018)P.229~230「115 契約の解除の要件」,同P.231~2「116 契約の解除の効果」(ともに田中洋執筆)が非常に有益です。
下記で参考文献をお示しした上で,原孝至基礎講座のテキストである『新スタンダードテキスト民法Ⅱ』(改正民法にも対応)の該当部分を掲載(PDF)致します。本ブログ読者の皆様の学習にお役立て頂ければ幸いです。
・山田卓生ほか『分析と展開 民法Ⅱ』(弘文堂,第5版,2005)(出版社HP書籍紹介参照)
P.154~165
・沖野眞已ほか編著『民法演習サブノート210問』(弘文堂,2018)(出版社HP書籍紹介参照)
P.229~232
・民法の一部を改正する法律(債権法改正)について(法務省HP)
説明資料に「契約解除の要件に関する見直し①②」も掲載されています。
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