
この連載では、司法試験及び予備試験などの受験上、平成29年民法(債権法)改正、同30年民法(相続法)改正などの一連の民法改正対策の名著を紹介致していきます。
受験生の皆様の学習の便宜となれば幸いです。
【改正民法対策の名著 第2回】
・石田剛・荻野奈緒・齋藤由紀『債権総論』(日評ベーシック・シリーズ)
(日本評論社、2018) 定価(本体1900円+税)(出版社HP書籍紹介参照)
債権総論は、民法財産法の最重要分野といえ、従来、分厚い名著が多くあります。しかし、司法試験対策という観点からは、あまりに分厚い基本書を通読するのはコストが悪いですし、通読する基本書は令和2年4月施行の民法(債権法)改正に対応している必要があります。そして、これらの要件を満たし、かつ、非常に分かり易い内容の基本書が、石田剛ほか『債権総論』(日評ベーシック・シリーズ)(日本評論社、2018)です。
同書(同シリーズ)の装丁は一見して地味ですが、内容は非常に充実しています。まず、同書はしがきには、「これから民法をはじめて学ぶ読者が、とくに予備知識がなくても、無理なく平成29年改正民法が定める債権総論の全体像と骨組みを理解することができるようになるための入門書として構想されている」と記載されております。また、同書は、「第1部 債権の内容とその実現」(P.8~108)、「第2部 債権回収の可能性を高めるための制度」(P.109~227)、「第3部 当事者の変更」(P.228~259)の3部構成にあり、「これは民法第3編『債権』第1章『総則』に置かれている各制度が社会で実際にどのような役割を果たしているか、という機能的な観点から、扱うべき内容の順序を部分的に再構成した結果である」(同書はしがき)とされる。さらに、同書は、具体例や図表が多く記載されており、初学者にも非常に分かり易い内容となっています(特に、P.147「【図表6-1】多数当事者の債権債務の見取り図」、P.209「【図表9-1】相殺のしくみ」などは俊逸です。)。
なお、同書の執筆者の1人である石田剛一橋大学大学院法学研究科教授は、令和2年司法試験考査委員・司法試験予備試験考査委員に就任されました。