<連載>改正民法対策の名著 第3回

この連載では、司法試験及び予備試験などの受験上、平成29年民法(債権法)改正、同30年民法(相続法)改正などの一連の民法改正対策の名著を紹介致していきます。

受験生の皆様の学習の便宜となれば幸いです。

【改正民法対策の名著 第3回】

沖野眞已・窪田充見・佐久間毅編著『民法演習サブノート210問』

(弘文堂、2018) 定価(本体2900円+税)(出版社HP書籍紹介参照

 同書は、現状では数少ない改正民法対応の演習書の1つで、民法全体で210問の具体的な事例についてコンパクトな解説がなされています。

 

 同書のはしがきには、「コンセプトは、これ1冊で民法全体について、設例をもとに基本的な知識を確認し展開するための演習書です。民法を学び始めた法学部生や法科大学院未修者が、独習に用いたり、あるいは友人と一緒に、民法の知識を復習して、確認するために用いる、あるいは、民法全体の勉強を終えた人が改めて復習・確認に用いる、といった利用の仕方を想定しています。」「…体裁は、1項目1論点を基本とし、1枚の表裏で完結する形としています。表面の頁に簡単な設例と質問とがあって、裏面の頁に解説があるという形を取っているのは、表面の設例と質問を見る際に解説が目に入らないようにするためです。まず、設例と質問を見て考えたうえで頁をめくってください。」と記載されています。

 

 そして、同書の特色として、事例の多さや解説のコンパクトさの他に、執筆者が非常に豪華なことです。まず、編著者の沖野眞已教授は平成31年及び令和2年考査委員(ともに出題委員)で法制審議会民法(債権関係)部会幹事、窪田充見教授は元考査委員、佐久間毅教授は平成31年考査委員(出題委員)です。また、執筆者の石田剛教授が令和2年考査委員(出題委員)である他、多くの考査委員経験者が含まれております。さらに、平成30年予備試験論文式試験民法は、「76 安全配慮義務」(同書P.151~2(中原太郎執筆))と「181 財産分与と詐害行為」(同書P.361~2(小池泰執筆))が参考になるなど、本試験の出題傾向にも合致しています。

 

 なお、同書は、「論文ステップアップ松永塾」民法のテキストに指定させて頂きました。

 

 民法(債権法)改正対応の演習書として、同書を選ばれるとよいと思います。