新型コロナウイルスのために延期された令和2年司法試験及び予備試験の実施日程が決まり、辰已でも予備試験・総択が実施され、短答式試験におけるご自身の現状の成績が分かってきているかと思います。そこで、今回は、主に予備試験受験生を対象に、科目別に短答本試験直前期の底上げ策を紹介させて頂きます。また、現在、基礎講座受講中などで来年以降の予備試験を目指される方にも今後の参考になるかと思いますので、是非ご覧下さい。
【一般教養科目編】
令和元年予備試験短答式試験一般教養科目(60点満点)の平均点は24.7で5割に届かず、また、出題範囲は広くて安定性がなく、受験生泣かせの科目といえます。
このため、一般教養科目対策としては、むしろ法律科目の底上げを図るのを優先すべきです。すなわち、極端な話、一般教養科目を受験した結果、仮に0点であったとしても、法律科目だけの得点で合格できるぐらいにしておくのが理想といえます。
もっとも、このような一般教養科目においても、比較的得点しやすく、また、多少対策すれば得点に近づける分野もあり、さらに、1問につき配点3と比較的大きいことから、少しでも合格に近づいて頂きたく、以下、若干の情報提供をさせて頂きます。
なお、下記の令和元年予備試験短答式試験一般教養科目(法務省HP)に基づいて紹介させて頂きます。
まず、令和元年予備試験短答式試験一般教養科目の第5問と第7問の文章理解の問題は、その性質上、知識がなくても現場での国語力を駆使して正答することが比較的容易なので、是非選択され、慎重に解答されるとよいでしょう。
また、第9問と第10問の論理学の問題も、その性質上、現場で頑張れば何とか正解に辿りつけると思います。ただ、無駄な時間を掛けないためにも、公務員試験対策のテキストを軽く参照しておくのもよいでしょう。この点、畑中敦子『畑中敦子の判断推理 ザ・ベスト プラス』(エクシア出版、第2版、2018)P.168~192「7論理」は、非常に分かりやすくお薦めです(なお、同書は、公務員試験対策の書籍として非常に人気があります。)。
次に、第11問と第12問の政治学と行政学の対策としては、高瀬淳一『公務員試験 行政5科目 まるごとパスワードneo2』(実務教育出版、2019)P.9~66「政治学」、P.67~100「行政学」が、コンパクトによくまとまっているので、一応お薦めしておきます(同書も公務員試験対策の書籍として非常に人気があります。)。もっとも、この分野は出題範囲が広いにもかかわらず毎年2問程度であり、さらに、細かい知識が問われることなどから、コストパフォーマンスが悪いとして対策しないとの判断もあり得るでしょう。
これに対して、社会学は、第13問と第14問の2問が出題されており、これには、高瀬・前掲書P.133~168である程度は対応可能です(第13問の肢1(正答肢)に関しては、同書P.136で大きく取り上げられています。)。このように社会学に関しては、それほどコストパフォーマンスが悪くはないので、同書を軽く読んでおくのもよいでしょう。
また、地学は、第27問から第30問の4問出題されており、これには、国立研究開発法人防災科学技術研究所自然災害情報室の防災基礎講座(下記HP)が非常に有益です。地学は、他の自然科学と異なり、防災などを通じて実生活との結びつきが強いので、下記の防災基礎講座などで学習して選択されてもよいでしょう。